平安時代から鎌倉時代に掛けて、熊野三山への信仰は「蟻の熊野詣で」といわれるくらい盛んで、藤白神社は、その参詣道の重要なポイントでありました。上皇、法皇、貴族の熊野御幸の折には、経供養、和歌会、里神楽、相撲が催し物として行われました。
藤白の獅子舞は、こうした機縁から生まれたものと言われています。
さて、獅子舞のあらすじは
うららかな春の陽射しに、洞穴から浮かれて出た一頭の獅子が、蝶や花にたわむれたり、蚤取りをしたりするうちに眠り込んでしまいます。そこへ、当地の漁の神さまとして崇められている天狗の面をつけた猿田彦命が現れます。びっくりした獅子は、猿田彦命が持っている巻物を取ろうとして暴れたり、いなくなった猿田彦命を探したりしますが、最後は剣でふり払われてしまいます。
神さまと獅子とが、仲よくのどかな春をうたいあげる様子を表しています。